落語のごくらく

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おかみさんの尻に敷かれる旦那の気持ちが分かる落語【熊の皮】

 

おかみさんというのは怖いもので、大体の男というのはおかみさんの尻に敷かれてしまうようでございますけれども・・・  

 

 

 

 
 
早く帰ってきたんだったらうちの仕事しなさい!?水汲んどいで!
 
水ぅ?水くらい俺が仕事行ってる間、おめえが汲んできたらいいじゃねえか!
 
何を言ってんだよぉ・・・
 
今あたし起きたばっかりなんだから・・・
 
今あたし座っててあんた立ってんだよ?それに井戸端に近いしさぁ!井戸端に近い人が水汲んだ方が早いだろぉ?いいから!
 
何も言わずに行くんだよぉ!桶片っぽうの方だけに持ってちゃダメだよ!両方の手に持ちなさい?
 
その方が効率がいいでしょ?いっぺんで済むんだから・・・容量を覚えなくちゃいけないよ本当に・・・
 
行ってきたの!?行ってきたんだね!じゃあそこの水瓶にこぼさないように!こぼさないように綺麗に!そ〜そ〜そ〜・・・
 
ご苦労さま・・・あとお釜の中にお米が測ってあるでしょ?それ研ぎなさい・・・
 
なんだい、研ぎなさいって・・・俺が水汲んできたんだから、米はおめえが研いだらいいじゃねえか!
 
あら知らなかったのぉ!?水汲んできた人がお米を研ぐんだよ?お米が喜ぶんだからさ・・・
 
やるんだよぉ!やんなきゃ覚えないんだからさぁ!そうそう・・・中々いい手つきじゃない、水の測り方も教えた、そうそう!
 
それで釜戸にかけたら・・・火はいじらなくていいの火は!どうしてそう教えてないことやろうとすんのお前は!
 
本当にしょうがない・・・ダメだよ、まだ上がってきちゃ!これからもう一仕事あんだから!
 
今から横丁の先生のとこ行っておいで!
え?
 
先生のとこ行っといで!何がじゃないの!先生のところからお赤飯いただいたのよ、先生お屋敷お出入りしているでしょ?お屋敷でもっておめでたいことがあって、いろんなことがあってお赤飯を配ってくださったの!
いっぱいってことはないよ、方々に配ってるんだから、うちはほんの茶碗一杯分ってところだけどさ・・・
 
だからそれのお礼に行ってきてちょうだいよ!
 
ちゃ、茶碗一杯分だろ!?そんなもんだったらわざわざ行かなくていいよぉ!今度どっかで会った時に先生ごちそうさまでした!これでいいじゃねえか!
 
だからさぁ・・・まともな人はそれでいいんだよ・・・あんたはまともじゃない人だから・・・
 
きちんとした挨拶教えてやるから覚えちゃうんだよ?
 
それからあんたみたいなのは、先生の所には表から入るんじゃないの!
 
裏から回りなさい!そしたらいつもみたいに書生のような若い人がいるでしょ?
 
その人に先生いますか?なんて雑な言葉使うんじゃないよ?丁寧な言葉を覚えなさい?
先生はご在宅でいらっしゃいますか?もういっぺんやるわよ?
 
先生はご在宅でいらっしゃいますか?
 
もうここまででお前さんの頭の中いっぱいいっぱいだと思うけれども、この先もあるから覚えるんだよ・・・
 
きちんと挨拶ってのはねぇ!まずこうやって前に手をつくの!
 
それではなは、受け賜わりますればって言うの・・・意味なんかどうでもいいの!音で覚えなさい音で!
 
お屋敷からお到来物だそうでおめでとうございます・・・御門多い中手前どもにまでお赤飯をありがとう存じます・・・
 
ってきちんと頭を下げて!一番しまいに!
女房がよろしく申しておりました
 
ここが肝心・・・ここ忘れたらただじゃおかない・・・わかった?
 
わかったら行ってらっしゃい!ちゃんとやんのよぉ!後でちゃんとできたかどうか聞くからねぇ!
 
うるせぇ!この野郎〜!
冗談じゃねえや・・・ったくよぉ・・・おっかねぇ・・・
 
大体何で我が家の亭主が我が家で緊張しなきゃいけねえんだ・・・
かかあだって最初はあんなんじゃなかったんだ・・・最初はあなたぁとか言ってくれたんだから・・・
 
ある時突然変わったね・・・
 
俺をおい!って呼ぶんだからさ・・・そん時俺がうっかり、はいっ・・・って返事しちゃったんだ・・・
 
あそこからなんだか変てこになってきちゃったんだ・・・
みんな言うんだ、甚兵衛さんは女房に尻に敷かれてるって・・・
 
俺ぁ最初は褒められてんのかと思ったけど、あれ馬鹿にされてたんだな・・・本当にもう・・・
こんにちわぁ〜!
 
これはこれは甚兵衛さんじゃございませんか・・・何かご用ですか?
 
ごほんっ!
 
せ、先生はご臨終ですか!?
 
しばらくお待ちくださいませ、先生大変にお喜びになると思いますんで・・・
 
先生〜、お長屋の甚兵衛さんがお見えになりました!
え?来たの?何?今日は?最初から?飛ばしてる?あっはっは!楽しみだな!すぐに上げなさい・・・
 
あぁ〜!甚兵衛さんよく来たな〜!いい顔をしてるなぁ・・・何か用かい?
 
さっきちょっと若い人に言うこと間違えたんでもう一回やって構わねえですかい!?
ほぉ・・・何か言いに来たんだね、何だい?
 
えぇ・・・先生はぁ!ご在宅ですか!?
 
はい・・・あなたの前にご在宅・・・
 
へぇ〜!そういうこと普通は当人に聞かないんだよ、いいなぁ〜!今日のお前は飛ばしてるねぇ〜!
 
たまらないねぇ〜!大丈夫かい?
 
えぇ・・・ちょっと頭下げさしてもらいやす・・・
 
受けまたますれさすれば・・・
 
いきなり分かんないもんねぇ〜、何言ってんだろうね、あははは!忘れちゃったの?大丈夫?
 
えぇ・・・これはかかあが言うには意味はどうでもいい、音で覚えろって言われてますから・・・先言わしてもらいます・・・
 
お屋敷がお弔いだそうでおめでとうございます・・・御門多い中手前どもにまでお石塔ありがとうございます・・・
 

※お石塔・・・お墓。

 

以上です・・・
 
ご苦労さまぁ!あっはっはっは!何しに来たんだろうなぁ!
 
お前もそんなところでひっくり返って笑ってないで、甚兵衛さんがいらっしゃったんだから、何かこっちからきっかけがあったんだろうよ〜
 
何?赤飯?赤飯をお長屋にお配りして?おぉお前にしては上出来だね、え?それでわざわざ甚兵衛さんが?お礼に?
じゃあ最初受けまたますれさすればってのは、受け賜わりますればってんだね・・・
 
お屋敷からお到来物だそうでおめでとうございます・・・御門多い中手前どもにまでお赤飯をありがとう存じます・・・
こういう風に言いたいと?

 

そうだったのかぁ〜!一時はどうなる事かと思ったよぉ〜!
 
いいんだ甚兵衛さんそんな、お赤飯ぐらいのことでわざわざ来てくれることなかったよ・・・
 
どっかで会ったついででよかったんだよ?
 
そうでしょ・・・やっぱりそうでしょ〜!?あっしもそれかかあに言ったんですよ!!
 
だいたい茶碗一杯分の赤飯でもってね、わざわざ行くことはねぇってったら、かかあが行け行けってうるせぇからイヤイヤ来たんですけれどもねぇ!
自分で何言ってるか分かってないだろう?いいなぁ〜!
 
お前はもう何も考えない方がいいんだよぉ〜!お長屋にはいろんな方がいらっしゃるけれども、お前のことがわしは一番好きだからねぇ!
 
あぁそうっすか・・・あっしはあんまり先生のこと好きじゃねえっすけど・・・
そういうのが好きなんだよあたしはぁ〜!たまらないねぇ〜!あはははは・・・
 
そりゃどういたしまして・・・いろんな物もらったんでしょ?
 
いやいやもらったという言葉は失礼、頂いた・・・
 
そうそう、お前が尻に当ててるそれ、珍しいものでな、熊の皮だよ・・・
 
なんすか?
 
熊の皮!
 
あ、これが?へぇ〜!あぁ!あの熊!こんなことになっちゃったんですか?あら気の毒に・・・
 
こんなこと置いてどうするんです?
 
置いてるんじゃない敷いてるんだよ・・・
 
敷いてるって言いますと?
敷物だよ・・・
 
敷物と言いますと?
 
そんなに聞かれても困るよ?しっかり聞いとくれ・・・
 
敷物ってのは尻に敷くものだよ!
 
し、尻!?
 
あ!・・・あ〜・・・先生ぇ・・・ありがとうございます・・・肝心なこと言うの忘れてました!聞いてください!
 
女房がよろしく言ってました・・・
 
 
 
 
終わり
 
 
 
 

熊の皮を聞きたい方へ

 

 

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