落語のごくらく

落語の台本を吹き出し💬式で書いています。

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日本だけ!?大人でも分からない同音異義語の恐ろしさ。落語【一つ目上がり】

 

 


 

 

 

隠居のところに来るとね、後ろの床の間のとこに色んなもんがかかってますがね、なんですそれ?

これ笹っ葉の塩漬けですか?
そんなもん掛けもんにする人はないよ・・・
これは雪折笹ってんだな・・・そばに字が書いてあるだろ?
これはね、「しなわるる だけはこたえよ 雪の笹」とこう書いてあるな・・・
おぉ~!そう~!いいもんですねぇこれ!こりゃ大したもんだ!えれぇもんですよ!あはは!
立派だぁ!へへっ!豪儀ですな!音羽屋ぁ!
 

※音羽屋・・・歌舞伎役者の屋号。

なんだいこの人は・・・知ってる誉め言葉ならべて最後には音羽屋ってのは・・・
これは画に添えた賛(さん)というものなんだよ・・・
こういうものを見たらな、「これは結構な賛ですな、いい賛ですね」と答えるんだよ?
え?ひとつでも三と答えるんですか?それじゃあこういう物を見たらいい3だ!とこう褒めるんだ!
へぇ~!これはいいことを教わったよ!?
じゃあね!あっしこれからひと廻り行ってきますんで!また顔出します!どうも~!
へぇ~隠居ってのはなんでも知ってんだねぇ・・・
ああいう掛物を見たらいい三だと褒める!よ~しこれどっかでやってみようじゃねえか!
そうだ!大家さんとこに行ってみよ!
こんちわぁ~!大家さんいますかぁ~?
はいはい・・・おおなんだ、はっつあんかい?どうした?
大家さんとこにさ!掛物あるでしょ!?ねぇ!ちょっと見せてもらいたいんですよ!
お前がかい?珍しいな・・・
よし!こっちへお上がり!
どうだい、これだ!
あぁそうっすか!
・・・あらまぁこりゃ字ばっかりだよ・・・隠居のとこには絵も描いてあったんだけどなぁ・・・
まぁいいや・・・大家さん!これなんて書いてあるんです?
これか?これはな、「近江(きんこう)の鷺(さぎ)は見がたく、遠樹(えんじゅ)の鴉(からす)見やすし」とこう書いてあるな・・・
えぇ!こりゃあ大家さん!いいですねぇ!こりゃあ・・・
いやこれは賛じゃない・・・
え?三でしょ?
賛じゃない・・・これは根岸に住んでいらっしゃった亀田豊斎先生の詩(し)だ・・・
四?三じゃないのこれ?本当に四?
・・・
さいなら・・・
おいおいどうなってんだよ・・・隠居のとこが三ってのに、裏の大家は四・・・悔しいねこりゃ・・・
もう一軒行ってみよ!もう一軒行って、
結構な詩ですね!
そうじゃねえ!って言われたら三へ戻ればいいんだ!せっかく覚えたんだから、ぱぁ~!っと成功させてぇ・・・
あ!医者の先生もああいうもん集めてるって聞いたね!行ってみよ!
こんちわぁ~!
はいはい・・・おぉ~これははっつあんかい?どうした?
実はね!先生のとこに掛物あったでしょ?それ見せてもらいたいんですよ!
ほぉ・・・お前さんそういうものがお好きかい?結構結構・・・
じゃあこっちへ来てごらん・・・これだよ・・・
あぁそうですか!
あらっ?こらまたおっそろしく字が書いてるなぁ・・・これなんて書いてあるんです?
これはね、「仏は法を売り、祖師は仏を売り、末世の僧は祖師を売る。汝五尺の身体を売りて、一切衆生の煩悩を済度す。柳は緑、花は紅の色いろ香。池の面に月は夜な夜な通へども水も濁さず影も止めず」とな・・・
先生ぇ!これは結構な四ですねぇ!
いやいやこれは詩ではありません・・・
じゃあでしょ?
いえ、賛でもありません・・・これは一休禅師の悟(ご)です・・・
五?
ずるいよそれは・・・なんです5ってのは?
悟りと書いて悟(ご)と読む・・・
本当に五!?
・・・
さいなら・・・
どうなってんだい、隠居のとこが三で、裏の大家が四で、先生のとこが五!?
三、四,五だってんだ!
ん?三、四、五?
あぁ!そうか!ああいうものを褒めるときにはひと目ずつ上げてかなくちゃいけねえんだ!
なんだ隠居も人が悪いなぁ!知ってんだったら最初から教えてくれりゃいいのによぉ!
よ~し!もう一軒行ってみよ!
もう一軒行って、これは結構な五ですねってったら、違う六だ!とこう来るからお先に六だと褒めちゃう!これでいいだろ!
よ~し!あ!兄いもああいうもん集めてんだ!
兄ぃ!いるかい!?
おぉおめえか・・・どうしたい?
兄い掛け軸持ってんでしょ?見せてくださいよ!
おぉそうか・・・まあこっちへ上がれ!
これだ!
ははぁ・・・こりゃまた面白い絵だねぇ・・・小さい舟に大勢乗っかっちゃって・・・
頭の長いやつがいるかと思えば、えらく太えやつもいて、あらっ!女も一人いるよ!
おっ!なんか字が書いてあんねぇ!
これはおめでたい文句だよ?上から呼んでも下から読んでも同じだてんだ・・・
「なかきよの とおのねふりの みなめさめ なみのりふねの おとのよきかな」
兄い!これは結構なだねぇこりゃあ!
こりゃ七福神だよ!
七福神!?悔しいねぇどうも!
じゃあこの小さいのはなんだい!?
これはおめえ「古い池や  蛙とびこむ 水の音」だ・・・
じゃあこれはだろう!?
な~に、これは芭蕉の句(く)だ・・・
 
 
おわり
 
 
 

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 一つ目上がりを聞いて

 

言葉の誤解があると、どこまでも勘違いしたまま話が進んでしまうということはよくありますね。

 

これが友達同士ならまだいいですが、会社でやってしまうと、連絡の食い違いで混乱しかねませんね。

 

考えてみれば日本語だけかもしれませんね。発音が少し違うだけで、言い方は全く一緒だという言葉は。

 

 

 

箸と橋

 

虫と無視と蒸し

 

以外 意外 遺骸

 

意義 異議 異議

 

それぞれで言葉の意味が違うので、ややこしいと言えばややこしいです。

 

間違いやすい同音異義語のまとめサイトです。

 

yattoke.com

 

自分がそれってどっち?と思ったときには、そのままにせず相手にきちんと確認することが大切ですね。

 

はっつあんのように振り回されるのも勉強になりそうですが(笑)

 

 

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