落語のごくらく

落語の台本を吹き出し💬式で書いています。

MENU

あなたの浮気は簡単にバレされ、約10倍の逆襲をくらいます。落語【包丁】

 

 

 昔から『浮気は男の甲斐性』なんてことをいいます・・・

 

男なんてものは本当に勝手なことを言うもんだと思いますけれども・・・

 

 

      スポンサーリンク

 

 
 
さあさあ!遠慮しねえでどんどんやってくれ!
おうおう、悪いねえ・・・ありがとありがと・・・
・・・ごくごくっ・・あぁ!うまいねえ!それでなんだ、その儲け話ってのは?
いや実はな?今俺は清元の師匠ってのと一緒になってるんだがな?
実はな、わきにもっといい女ができたんだよ・・・
その女と一緒になりてえんだが、今のかかあが邪魔になるんだ・・・
それでおめえに頼みというのが、俺が後で一升酒買っておくからよ、そいつを手土産ってことでぶら下げっててな?
うめえこと言って上がり込んでよ、かかあに湯呑かなんかもらってよ、ちょいと一杯やってもらいてえんだよ・・・
あ、そうだ!佃煮のうめえのがあるんだ!鼠入らず(食器棚)のね、右側開けるとね、上から二段目に蓋物が入ってるから、そいつが佃煮なんだ・・・
そうだ!たくあんがあったよ!台所のね?揚げ板の手前から三番目上げるってと、下がぬかみそ桶になってるんだが、上の方になすだのきゅうりだの漬けかけになってるのがあるから・・・
それで一杯やってもらいてえんだよ・・・
そりゃあちょっとおかしいんじゃねえか?
だってそうだろ・・・初めて行ったうちでよ?佃煮出したりたくわん出したらおめえおかしいじゃねえか・・・
そんなこと構いやしないよ、それでお前が二、三杯飲んで酔ったふりをして、かかあの手を握るだのなんだのしてもらいてえんだ・・・
そこへ俺が出刃包丁持って乗り込んでいってよ、『よくも間男をしやがったな!』ってんで、かかあを脅かして・・・
田舎の芸者に二年でも三年でも、いくらになるか分からねえが叩き売ってな?その銭を二人で山分けしようってんだ・・・
どうだ?
あんまりいい仕事じゃねえな!
はっは!まあなんでもいいからうまくやってくれぃ!
 

ってんで悪い相談が持ち上がりまして・・・

 
 
あっ・・・ここだよ・・・ふぅ・・・
こんちわぁ~!ごめんくださいまし!
は~い!どなた?
え~、あっしは久治のガキの時分からの友達で寅ってもんなんでございますが・・・
これ、つまらねえもんなんですが、兄貴がいける口なんで、召し上がってもらいてえと思いまして・・・
あらまぁ、ご丁寧にありがとうございます・・・あいにく今留守なんでございますよ・・・
え?あぁ!そうでしょ!今そこで会っ・・・あぁいやいや、へっへっへっへ・・・そうでしたか・・・
いやお帰りになるまでねぇ・・・ちょいと待たしてもらうわけにはいきませんかねぇ?
どうぞこんな汚いところでよろしかったら、お上がりになってくださいな・・・
さいでございますか?だったらまっぴらごめんなすって下さいまし・・・
いい女だねぇ・・・あんないい女を叩き売るなんてもったいねえじゃねえか・・・
何をブツブツ言ってらっしゃるんですの?
え?えっへっへ・・・いやぁどうもね、こうやっておかみさんと面を突き合わせてるってのもなんでございますからねぇ・・・
ちょっとこう・・・一杯やりてえんでございますけれども・・・
てめえで持って来たこの酒を飲むってのもなんですが、まあそこは兄弟分ってことで勘弁してもらって・・・
湯呑かなんかあったら貸してもらいてえんですけど・・・
それは構わないんですが、あいにく今お魚が何にもございませんで・・・
いや何にもねえったってなんかあるでしょ?
例えば・・・佃煮とか?ねぇ?佃煮!ねえんすか?
本当にねえんすか?
あぁそうっすか・・・
出しましょう!めんどくせえから・・・
あらっ!嫌だよこの人は・・・佃煮の入ってるところを知ってるじゃないか・・・
ええ、大体ね、鼠入らずへ入れておくもんですよねぇ!
おっ!これは美味そうだ!・・・うん・・もぐもぐ・・・ごくごくっ・・うんうん・・・
いやあっしはね?佃煮もいいんですけれどもねぇ、げすいようですが、たくわんで一杯やるのも好きなんですよ!
なんかありませんかねぇ!?ぬかみそが・・・
何にもございません!
いや何にもございませんたって、なんかあんでしょ?ぬかみそなんだから、引っ掻き回せば出てくるでしょ?
ねえんですか?本当にねえんですか?
出しましょう!めんどくせえから!
え~っと揚げ板の・・・
あらやだ・・・この人ぬかみそのある所まで知ってるんだよ・・・
あらっ!自分で出して洗って刻んでるよ・・・
へっへっへ・・・まあ大体ね、ぬかみそは縁の下に入れておくもんですから・・・
・・・うん・・・もぐもぐ・・・うん!・・・ごくごくっ・・・
あぁっ~!・・・へっへ・・・あのおかみさんはお稽古なんてやってるんですか?
あぁそうですか・・・いやあっしはねぇ、三味線が好きなんですよ!
小唄なんていいもんだ!短え文句の中におつな文句がありますよ?
あっしの好きな小唄の中に八重一重ってのがありましてね?
『八重一重・・・山もおぼろに薄化粧・・・』なんてね!へっへっへ・・・
薄~~~♪化粧ぉぉぉぉ~~~♪・・・なんちゃってね!
つ~~んつんつ~ん♪ちつてんと~ん♪・・・(おかみさんの手をぎゅっと握る)
およしなさい!
ちと~てんてん~♪おての~も~の~♪・・・恥ずかし~い~ではないかいなぁ~~~♪
いいかげんにおし!
痛い!痛い!冗談じゃねえや・・・何もそんなに邪険にするこたあねえじゃねえか!
何を言ってんだよ本当に!酔ってると思って黙ってりゃいい気になりやがって!
なんだい真昼間から!いやらしいったらありゃしないよ!
あたしはね!独り身じゃないんだよ!?亭主のある体なんだ!
第一お前が女を口説く面かい!!本当に・・・ブルドックみたいな面しやがって!
ブルドックとはなんだブルドックとは!ダメだもうやってられるか!
冗談じゃねえや!こちとら頼まれたから仕方なくやったんだ!
そんなことを頼むやつがどこにいるんだよ!
いるんだからしょうがねえだろ!
じゃあ誰に頼まれたの!?
ふんっ!てめえの亭主だよ・・・
いい加減なことをお言いでないよ!自分の亭主を口説いてくれなんて、そんな亭主がどこにあるんだよ!
なんだ!嘘だってのか!?ああもういい!じゃあ何もかもしゃべっちゃうよ!?
実はな、そこで久治の野郎にあったんだよ!
『今はこういう女と一緒にいるんだが、実はわきにいい女ができた・・・
この女と別れてえから、おめえが俺のうちへ行って酔ったふりをしてかかあの手なんか握ったりしてくれってんだ・・・
俺はそこへ飛び込んでってかかあを脅かして、田舎の芸者に二年でも三年でも、いくらになるか分からねえけど叩き売って、その銭を山分けしよう』ってんだこん畜生!!
俺は銭が欲しいから引き受けたんだこん畜生!ふざけんなべらぼうめえ!
あらっ・・・じゃあ寅さんそれ本当なんですか?
何を言ってんだこの野郎・・・本当も嘘もあるか!
嘘だったらなぁ!初めて来たうちで佃煮が鼠入れの二段目にあって、ぬかみそが縁の下の三番目にあんだって分かるか本当に!
嘘じゃねえや!
まあ・・・悔しいじゃないか・・・うぅっ・・・
あの・・・寅さん・・・折り入ってお願いがあるんですけれども・・・
なんだ折り入ってって!
あの、あいつが後で乗り込んで来たらね?言いたいこと言って追い出してやりたいと思ってるんですよ・・・
その時はお前さんからも一言言ってやってくださいな・・・・
その上で女のあたしから言いにくいことなんですが、こんなおたふくでよかったらお前さん・・・
女房にしてくれないかい?
・・・へ?おめえが?・・・俺の?
えっへっへ・・・嘘だぁ!だってさっき言ったじゃねえかブルドックだって・・・
お前さんが嫌だと言うなら・・・
嫌なことはねえよ!おめえみてえないい女がかかあになってくれたら、こんなありがてえことはねえ!
そう・・・じゃあそうと決まったらいつまでもお前さんにそんな格好させておきたくありませんからね・・・
ここに仕立て下ろしの着物がありますからこれに着替えて・・・
それからあたしのお酌じゃ美味しくないでしょうけれども、機嫌直しに飲みなおしてくださいな・・・
お刺身もあることだし・・・
さっき何もねえってそう言ったじゃねえか!
 

 

ってんで二人でちびちびやっている・・・

 
 
      スポンサーリンク
 
 
 
お?なんだあの野郎、いい役者だねぇおい!
俺の着物を着てかかあに酌までさせてやがる・・・
うちのかかあはあんなことする女じゃねえんだけどなぁ、ふふっ・・・
そうなるとこっちの役もぐっと引き締まるってやつだ、ありがてぇ!
やい!かかあこの野郎!おめえよくも間男しやがったな!
ちょいと!大きな声をお出しでないよ本当に!間男だ?
何を言ってんだい!あたしはね、ここにいる寅さんに残らず聞いちまったよ!
女が出来たんだろ?あたしが邪魔になったから・・・
芸者に売り飛ばそうってんだ・・・そんなことをされてねぇ!黙っちゃいないんですよこっちは!
なんだい包丁なんて振り回して!そんなもの、こっちへ貸しやがれってんだ!
今日からはね、ここにいる寅さんがあたしの亭主なんだから!いいかい!?
さあお前さんからも何か一言言ってやってくださいよ・・・
(寅さん)いや・・・あぁわかったよ・・・うん・・・
まあ・・・そういうわけなんだ、今日のところは帰ってくれ
なんだ!おめえそれじゃ約束が違・・・
違うったってなっちゃったんだからしょうがねえ!
そんな!
何をぐずぐずしてやがんだい!出ていきやがれ!本当に・・・
出ていけ!馬鹿・・・こん畜生・・・うぅ・・・
さあこれであたしもせいせいしましたよ・・・今日からはあたしがあなたの女房なんだから・・・
いいかい?あんた浮気をするってと承知しないよ!?
だ、大丈夫だ!俺は久治みてえなことはねえんだから!
一杯酌してくんねえな!
 

 

また二人でちびちびやっている・・・ 表の戸をがらがらっと開けて久治がづかづかと上がって来て・・・

 
やい!出刃包丁を出せ、出刃包丁を出せ!
あらっ・・・また来たよ・・・ねえちょいと、出刃包丁を出せってそう言ってるよ?
(寅さん)おう持って来い持って来い!
やい久治!てめえどっかで知恵でも付けられてきたな!?てめえがあんまり阿漕(あこぎ)なことをするから、こうものがひっくり返るんだぞ!?
自業自得で仕方がねえじゃねえか!それをおめえは恨みを持って、俺達二人を四つにでも八つにでも切ろうってのか!
面白えじゃねえか!ここに出刃包丁がある!
突くでも切るでも勝手にしやがれぇい!!
何も突くとも切るとも言ってねえじゃねえか・・・
じゃあ出刃包丁をどうすんだ!
横丁の魚屋へ返しに行くんだよ・・・
 
 
 
おわり
 
 
 
 

包丁を聞きたい方へ

 

庖丁

庖丁

  • 春風亭一朝
  • コメディ
  • provided courtesy of iTunes

 

 

 

包丁を聞いて感じること

 

私だったら、絶対に浮気はしませんね。えぇしませんとも。

 

それをさらに芸者に売って金にするなんてそんなひどいこと私には到底できませんよ!

 

というか、浮気をする前に付き合わないと始まらんのですよ私と場合は。

お恥ずかしい限りでございますけれども。

 

男の浮気よりも女の浮気の方が怖いというのはよく聞きます。

 

男は遊び感覚で浮気をしがちで、女の浮気は遊びじゃなくて本気らしいですから。

 

ですから女性は男性から浮気をされた場合でも、男性が『やっぱりお前じゃないとダメなんだ』と戻って来る確率は高いです。

 

しかし、男性が女性に浮気された場合、愛想をつかされたと思って間違いないでしょう。

 

とにかく浮気したら逆恨みが怖いですね。

 

人間というものは好きなものには貪欲ですから、それが裏切られたときにはもう・・・

 

ねぇ?・・・

 

『浮気をしようとするものならば、女性からの逆襲はとんでもなく怖い』

 

個人的にはそんなことを楽しく感じられる落語です。

 

寅さんは何かすごいラッキーでしたね。ごっつあんゴールのような・・・

 

案外寅さんのようなブサイクで不格好な人間が最終的には凄く良いポジションをゲットできるのかもしれません。

 

 

 

 

 

      スポンサーリンク