僕らと映画と落語と

どこにでもいる普通の大学生が普通から脱却するため、ブログ始めました。片方は映画、もう片方は落語についての記事を書きます!

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落語【子別れ上・下】part1

 

こんにちわ!ヨンスです!

今回の演目は大ネタの人情噺【子別れ】です

中々の長編ですよ?(笑)

 

弔いが山谷と聞いて親父行きなんという川柳がありまして、山谷と言うところはお寺がたくさん昔あって、必ずどっかでもって弔いがあったそうですな。

昔はお家でもってお弔いをするということがございませんで、必ずお寺でもってお弔いをする・・

そうすると若い人がおとっつあんの代わりにお焼香に行くというようなことがございません・・

必ず近くに吉原という華やかな場所がございますから、そっちへひっかっかちゃう・・だから心配で心配でしょうがない・・

 

 

 あの・・お寺はどちらでございますか?え?山谷?それは困りましたなぁ・・

とても倅はやれません・・あたくしが参りますよ!
 

普段は倅さんを名代へ出しているおとっつあんが直々にお焼香へ伺うなんということになったんだそうでございます・・

その時分のお弔いというのは必ずお菓子というものが出て来たんだそうでございますな・・

盛り菓子なんていいましてね、お盆の上に饅頭なんぞを高く積んでおいて、あっちこちに出しておく・・

ちょいとお金のあるうちになりますと、これが折に詰めたんだそうでございますな・・

ようかんとか最中だとか結構なお菓子を入れまして、1人に一つずつ配る・・

御大家でもってご高齢でお亡くなりになるとかえってめでたいというので、おこわ、お赤飯を蒸かしたんだそうでございますな・・これは竹の皮に包んだそうですが・・端の方にしろ菜とがんもどきの甘辛に煮たやつなんぞを入れまして・・

それで1人ずつに配る・・それで般若湯と申しまして、お酒ですな・・

これを土瓶の中に入れまして、お茶と間違えないように印をつけてあっちこっちへ出して置いておくというような具合です・・

中にはそういうのを飲みすぎちゃって始末に悪いなんてえのがよくいたそうですが・・・

お~い、おい!おい!熊さん!
あぁ!?はい!?あぁ!どうもこれはどうも!ご隠居!ご苦労様で!
何を言ってるんだよぉ・・本当に・・起きなさい起きなさい・・
しょうがないねえ・・職人がお出入り先の弔い手伝いに来ててこんなところで寝ちゃってどうするんだい!?
起こしていきなり小言を言いなさんな、ご隠居・・こっちだって端っからここで寝てたわけじゃあないんだよ?そらぁやっぱり働かなくちゃいけねえと思うから一番初めにね、表の方に行きました!
げそ番屋なんかやってましたので、誰だったか覚えちゃいねえけど誰か傍に来て、「どうも親方、ごくろうさん!ちょっと代わりますから奥でおやすみなさい」ってこう言われたからこっちは奥で引っ込んでたんだ!
それで台所に来たんだ!喉が乾いたんで、お茶でも飲みてえなと思ったら、土瓶が置いてあるからさ、湯呑持ってきて、そこへ一杯ついで、きゅ~っと飲むってとこれがお前さんの前だけれども、お茶じゃあなくてお茶気だよ!?これぁありがてえってんだ!
それでぐわぁ~っと飲んでて、気が付いたら、土瓶を3つばかりからめちゃったんだ・・
さあなんだか知らねえけれどもかったるくて、とてもじゃねえけれども、働いちゃ居られねえからってんで、人の邪魔になっちゃいけませんから、こっちの方へ引っ込んで来て、それで肘を枕にごろりと横になるってと、本堂からお坊さんのお経が聞こえてきましたよ?
お坊さんのお経ってえのは寝るには持って来いのもんだね、ぐっすりいい心持で寝て、お前さんに起こされたんだ、お経もう聞こえないねぇ!弔いはもう晴れたの?
なんだい弔い晴れたの?ってえのは・・しょうがないねえもう・・・まあ無事に終わりましたよ!?皆さんお帰りになったんだ、それであたしも帰ろうかなと思ってふっとお前さんのことを思い出した・・・
ああ、誘って帰らなくちゃいけないってんで、あっちこっち探しちゃったよ!さぁ!帰るんですよ!
わかったわかった今帰るよ!ちょ、ちょっと待ちなよ、せっかくいただいたおこわだよ?こいつを背中ん所へこう・・隠して・・よしっ・・それじゃあ行きましょうか!
いやぁ、それにしても今日は天気がよくて本当に良かった!
そうだねぇ、雨が降るってと、出てくる方も支度が大変、迎える方も色々と用が増えちゃうからねぇ・・ 晴れてるにこしたことはないよ、よかった今日は・・
もう~とにかく人がずいぶん来たんでしょ?
ああいっぱい来たよ?付き合いの広い方だしね?いい方だからね、人徳というのかなぁ・・大勢さんお見えになったねぇ・・
ああいう亡くなったご隠居・・いい人だからやっぱり極楽へ行くんでしょうなぁ・・
そらそうだろうなぁ・・よく地獄極楽なんて言うけれども、地獄はどこにあるんだって聞いたら、地獄ってのは地べたの下にあるなんてことを聞きましたよ・・だけど地べたの下にあるんだったらたまには、誰かが閻魔の冠かなんか掘り出しそうなもんだってんだ・・・そういうことがねえんだからおかしいねえ・・
何を言ってんだい・・地獄極楽というのはねえ、この世にあるんだよ?
この世?へぇ~・・この世のどこにあんの?
いやどことそことかって言うんじゃないんだよ、ね?人間というものは苦しい時には地獄だよ?幸せな時は極楽さ・・
ああそうか・・それじゃあこれから吉原へ行って「あらちょいとお前さん様子がいいよ?こっちが来なさいよ~・・」なんてんで顎の所をこちょこちょっとやってもらうのは、こいつぁは極楽だ!?
そらぁ極楽だ・・
極楽行こうか?
およしよ・・いい年の者を捕まえてそんなことを言うんじゃありませんよ?
いい年のもんだから誘ってやってんじゃねえか!人間というものは達者なうちだよ?医者にもうこの人はいけませんと見放されちゃってから、山海の珍味を目の前にして、百人の美女に取り巻かれたってこいつぁはもう手遅れだよ・・
達者なうちだよ!だから誘ってんじゃねえか!さあさあ行こうじゃねえか!
いい、いいよあたしはもう疲れたから・・お前さんだってそうだよ?そんなところへ行って御あしを使うよりだったら、帰ってかみさんに何かうまいものを食べさせてやるとか、子供に羽織の一枚でも着させてやるとかしたらどうだい?
大きなお世話だよ!人のうちのそういうのをグズグズ言うんじゃないよ?何を言ってんだい!俺んとこのかみさんだよ?俺んとこのかかあだよ?
食わせる物がねえからって、屋根おっぽり上げて木食らわしておこうが、ガキに着せるもんがねえからってんで風呂敷に包んでおこうが俺の勝手だよ!
何言ってやがんでい、人の財政にいちいち立ち入りやがって・・行きたくなきゃいいんだよ!俺ぁ勝手に行くんだから!あばよ!
おい!よしなよ!
何言ってやがんでい!色には鉛、連れは邪魔ってんだ!なあ!ありがたいねえ!懐には棟梁から前借したお給金があんだよ?いい心持ちになっちゃったんだ!
鬼に金棒だよ!こわ飯にゴマ塩と来てやがら!はっはっは~!
冷たいぃ~~~ぃい~~♪♪
ちょっと~・・そこにいるのは親方じゃあない?
お?なんだ誰だと思ったら、紙くず屋じゃあねえか!今日はどうしたい!?羽織なんざ着てなんかあったのか?
ああ、かみさんの弟が嫁もらってね?
ああ婚礼かぁ!そいつは結構だなぁ!俺の方は弔いだよ?この先の寺で御棚のほら、ご隠居が亡くなったんだよ、今終わって帰りなんだ、向こうでもってちょいと般若湯やったんだよ!いい心持ちになっちゃってさぁ!
場所は山谷だよ、日が暮れかかってんだよ、だからこれから仲(吉原)へ行こうってんだ!なあ!一緒に付き合わねえか?
はぁ~吉原?いいなぁ!行きたいなあ!
行こうじゃねえか!
行きたいんだけどね、今ちょうど懐があいにくなんだよ・・
懐があいにくだぁ!?生意気なことを言うんじゃないよ?あってたまにだからあいにくってんだ・・・おめえなんざのべつあいにくじゃあねえか!
おめえのあいにくは長いねえ!安政のころからあいにくだぁ!
何を言ってる・・ねえものはねえんだ!
わかったよ!こっちはうっかり口聞いちゃったんだ!言い出しっぺだ!しょうがねえや!足らねえ所は俺が出してやらぁ・・おめえいくらかは持ってんだろ?
そらぁいくらかはありますよ・・
だったらいいじゃねえか・・一円くらいは持ってんのか?
そんなに持ってないですよぉ・・一円持ってたらあたしだって、そらぁ、えばって行きますよ・・
あぁそうか・・じゃあ70銭くらい持ってんのか?
そんなには持ってないですよ・・
じゃあ60銭はどうだ?
そこまでいかないんだ・・
じゃあ50銭か?
もうちょっと足らないねぇ・・
40銭か?
もう少しだねえ・・
30銭か?
もうこれっばかりだよ・・
20銭か?
もうちょいと・・
10銭か?
悔しいねえ・・
5銭か?
おしいねえ・・
3銭か?
当たった・・
なんだとぉ!三銭ばかりの金を持って大の大人がうろうろするなこの辺を!情けねえなぁもう本当に・・
まあしょうがねえ、口聞いたんだ、今日の所は俺が出してやるよ!今度はおめえが景気のいいときにちゃんと返さなくちゃいけねえよ?
分かったよぉ・・どうもありがとうございます・・申し訳ない・・
申し訳ないじゃない!もういいんだよもう!さあさあ行こう行こう!遊びに行くのにおめえなぁ!いちいちペコペコしながら遊びに行くな!おめえがいつか返すというから俺が今日は出してやるんだから!そうなりゃ五分だよ!
遊びに行くのは五分で行かなきゃだめだよ?本当さ!こうやって二人で並んでだろ?そうするってと分かるよ?はたから見て俺の方がお供だって思われるよ?
そりゃそうだよ!半纏(はんてん)に腹巻に股引だよ?おめえはそうやって羽織着てんだから!いや~なんだね~いい羽織だねぇ・・いい羽織だよ?肩の所から下にかけてず~っと変わって来てて色が・・
それは何かい?あけぼの染めってのかい?
染めがはげてきちゃってんだよぉ・・そういうこと言わないでちょうだいよ~
言わないでちょうだいよったって、言いたくもなるじゃねえか~おつなもんだよ本当に~ねえ・・
いい足袋履いてるねえ・・
よくない・・
いやいいよ~いい足袋だ・・この足袋は儀式にあらず、白足袋は汚れっぽいってんでねえ・・鼠色の足袋を履いてんのは・・
白足袋が汚れちゃってんだよぉ・・なんか言わないでもらいてぇなぁ・・
下駄はよくないよ?下駄は!もうそろそろ代えなよ?よくそこまでへらしたねえ・・そこまで履いてられるもんじゃないよ?今度へるってとおめえの足がへるから気をつけろよ?
だけどおめえ女が惚れんのはな?なりに惚れるんじゃねえやい、心意気に惚れんだよ!なぁ!向こういっておめえお互いの相方になんか言われようじゃねえか!
あたしたちはどっちかってと、若い人より、お前さんたちぐらいの年配の人の方が好きよ~」な~んか言われようじゃねえか!なあ紙くず屋!
初回惚れしてわしゃ恥ずかしい・・裏に来るやら、来ないやら・・きっとだよぉ・・」なんてなことを言われようじゃねえか!
なぁ!紙くず屋!
うぅ・・あたし帰るよ!
どうして?
だってなんだい!?紙くず屋、紙くず屋って!
紙くず屋だから紙くず屋って言ったんじゃねえか!ええ?魚屋を紙くず屋って言ったんじゃねえんだ!紙くず屋だから紙くず屋って言ったんだ!他に何て言やあいいんだよ!?
紙くず屋を魚屋って呼べるかぁ!?紙くず屋を紙くず屋って言って何が悪いんだい!?
いいからあたしは帰りますよ!
そんなこと言うなよぉ~妙に色っぽいやつだねぇ~・・分かってるよ!向こう行ったら言わないよ?
本当?女の子の前でそんなこと言われてご覧?割り食っちゃうんだから!だから商売は内緒ですよ?
ああ分かった分かったなんにも言わねえ、ねえ!明日の朝になんだろ?二人でもってさいい心持ちでもって表へ出てくるよ?お互いの相方が送り出して来て、
また来ておくれよ?近いうちに!きっとだよ?二人そろって来て頂戴よ!?」な~んてな!言われようじゃねえか紙く・・いやぁ・・あの~ふんふん~~
危ないねえ・・ふらふらふらふら・・ずいぶん飲んだんだなぁ・・本当にしょうがない・・そっち行ったら危ない危ない、親方そっちにはどぶがあるんだから、そっち行っちゃあだめなんだよ!こっち来なきゃだめなんだよ!
やいこん畜生!大変なことをしやがったな?人の背中を今どんど~んとどやしやがったろ?
冗談じゃねえや大変なことになっちゃった!
どうしたの?
俺の背中が膨れ上がってるのにわかんねえのかよ!寺でもらったおこわが入ってんだ!
そこんところをおめえがど~んとやってぎゅぎゅぎゅっと押したろ?しろ菜とがんもどきのつゆがみんな出ちゃったい!
それが今だんだんと下に落ちて来てる・・今の背中の所まできて・・その脇のおできにしみてたまらない!も~今俺ぁ股がべたべたになっちゃったい!しょうがねえなあ本当に・・まあいいや向こう行って風呂入りゃあいいんだから・・・
ほら着いた!ここが大門だ!
 

part2へ続く

 

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【子別れを聞きたい方へ】

 

 

五代目 古今亭志ん生(17)子別れ/もう半分
 

 

 

 

 

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