ヨンスのひと笑い

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落語【火焔太鼓】part3

 

 

part1、part2はこちら

 

 
 
 
 
ああ!あなたですかどうも!太鼓を持ってきました!
おお、そうか、こちらへ上がれ
い、いえ、ここの方がいざって時には・・
何を申しておる・・こちらへ上がれ!
そうっすか・・じゃあ上がります・・えぇ・・よいしょっと・・へえ上がりました!上がりましたよぉ!
分かっておる、太鼓は持参したんだな?
ええ持ってまいりました!持ってきちゃいけないんですか!?
何を申しておる・・なにか面白くないことでもあるのか?
ん~殿に見せる前にな、拙者がひとつ見ておこう、見せなさい・・
・・ほうほうほう・・最前店でちらりと見たときから思うと大層、時代がついておるな?
へえ!時代のことについてぐずぐず言われちゃあ困っちゃうんだ、ええ!これ時代で固まってるようなもんですよ?もう~そこらじゅう時代だらけですよ?もうとにかく時代できゅっとなってますからねえ!これから時代とると太鼓なくなっちゃうぐらいですからね!
変わったことを申すやつだな、それでは殿にお見せする間な、そこでしばし控えておれ
こ、これお殿様にお見せするんですか?そ、それはよしましょうよ・・いやいやお殿様は買いっこありません、こんなもの・・・よしましょうよ!
あなたもあたしもしくじりますから、ね?よしましょうよ!よしましょうよしましょう・・・それであなた買ってくれませんか?
いや拙者は買うわけには参らん、とにかくな、そこに控えておれ・・
あ、そうですか・・じゃあどうぞ・・あっ重いでしょ?重いのと汚いのだけは請け負うんです・・重汚いってやつですから・・大丈夫ですか?
あ、あのねえ!それからあたくしは別にですね?どうしても買ってくれというわけではないですからね?ただ見せに来たんですからそこんところはあなたの方からよくおっしゃってくださいね?どうぞいってらっしゃい!どうも・・
ああ行っちゃった・・なるほどねえ・・あれ改めて見るたんびに汚く見えてくるなあ・・あれじゃ買わねえなあ、『よくこんな無礼なものを!』って聞こえたら『さようなら!』って逃げちゃおう・・冗談じゃねえや本当に・・
はぁ・・戻ってきた・・・
どうでしたぁ!?いけなかったでしょう?
いや大層御意に召してなぁ!あの太鼓をお買い上げになるそうだ!
へ?あの太鼓を?・・嘘だぁ!嘘だよあんなことを言ってぇ!安心させて側まで来て捕まえようと思って!
何を申しておる・・真にお買い上げになる!
本当に買うんですか?本当に?あっそうすか!へぇ・・へぇ・・・はぁ・・
なんだがっかりしておるな、売らんのか?
いえ!売りますよ!やだよそんな邪魔しちゃ!
誰が邪魔なんぞするか!早速のことであるが道具屋あの太鼓いくらなら手放す?
ええ!いくらならばぁ~え~いくらならばぁ~いくらならばぁ!え~手放すなん・・手放すなんということをですな!ええお聞きになるんですな?
聞いておるではないか!んん?いくらだ?
ええ!あれがですな、いくら~いくら~ぐらいのもんですかなぁ?
分からんやつだなその方は・・・その方が商うのではないか!わしが決めるわけにはいかん!いくらだ?申してみよ?
ははぁ~ん・・・言いそびれておるな?ははっ、いや分かる分かる・・がしかしな、まあこのようなことを申して殿に対して真にあいすまんが、商人というものは儲けるときに儲けておかんと後で損がいかんでな・・構わんぞ?手一杯に申してみよ!
手一杯に!?ああそうですか・・じゃあね、こうしましょう!私がねえ、これ以上は手一杯がないという所まで言いますんでね、あなた高いなと思いましたらですね、言ってください?あたくしすぐ『へい!』ってんでまけますから!
そうか・・では遠慮なしに手一杯申せ
あのね・・えぇ~っとこんなところでいかがでしょうか?
なんだ手一杯と申して、手を広げて・・それはいくらのことだ?
十万両!
十万両?いやぁそれは高い!
高いでしょ?そらぁ高いよ手一杯ですからこれは!それであなたまけろって言えばあたくしはいくらでもまけますよ?どんどんどんどんまけて今日ず~っと一日中まけましょう!
そんな商いの仕方があるか!変わったやつだな、う~ん・・しからばこちらから値を切り出そう・・
いかがだな?あの太鼓拙者300金ならば取り計らって遣わすが300では手放せぬか?
いえ・・ですからね?
あのぉ・・・今なにかおっしゃいましたか?
300金ではどうだ?
あぁそうっすか・・300金・・へえへえへえ・・300金というのはどういう300金でしょうな?
300両ではどうかと言っておるのじゃ
あぁそうっすか、300両ですか・・ですけど300両ってのは一体どんな300両ですか?
わからんやつだな・・小判で300両ではどうだ?
小判ってとこんな形をしていまして、何か買える小判ですか?
物の買えぬ小判というものがあるか!どうだ300両で
どうだなんてあんたそんな300両だなんて・・・あはははは!あっはははは・・うわぁ~~~~ん・・・・ぐすっ・・ぐす・・分かりました!300両!300両ぉぉぉ!!
うるさいやつだな、何も泣くことはない・・よし分かった分かった・・しからば受け取りを書きなさい
受け取りなんかいりません!
こちらが必要なのだ!
ああそうっすか・・え~こんなところでいかがでございましょう?
ん?どれどれ・・ほうほう・・印形を持ってまいらぬのか?認印を押して・・
ええ、あたくし持ってこなかったんでございますが、へえ?あっ!爪印で?分かりました、それじゃあそれをお貸しいただいて・・・
どこに押しますな?どこでもいいんですか?そうですか、えぇいくつぐらい押しましょうな?八十ぐらい・・まあまあよろしゅうございます・・こんな具合に・・・よいしょよいしょ・・
何をいたしておる!・・あぁ・・字が読めんではないか・・まあこれでも良かろう・・これこれこれ・・金子を持ってまいれ
よいか?これからその方に300金渡すによってな、間違いのないようによ~く見ておれよ?
あぁそうですか、300両・・ええ!分かりました!へえどうぞ!
よいか?それ・・50両
50両!50両50両・・50両50両50両・・50両!!
あるな?
50両50両・・
よし・・それ・・100両・・
100両100両・・100両~100両~100両~~!
うるさいやつだなその方は・・ん・・150両・・
150両!確かにございます!
それ200両・・
200両200両ぅぅ200両ぉぉ・・
良く泣くやつだなその方は・・それ250両・・・
250両ぅ・・すいません水を一杯下さい!
世話の焼ける奴だな、これこれ水を飲ませてやれ・・
もうよいか?大丈夫だな?
ええ大丈夫でございます!これでおしまいですか?
まだある、残り50両、300だ!さあ持ってまいれ!
こ、これは本当にあたくしいただいてよろしいのですか?
その方の商いによって得た金だ、持ってまいれ!
ああそうでございますか・・ええ持ってまいります・・断りをしておきますがな、手前どもはですな、一旦売ったものは決してお引き取りをしないようにしてますんでね!これはおじいさんの代からの遺言でございましてな?どんなことがあってもお引き取りをしてはいけないんです!
へえどうもありがとうございます・・あの一つお伺いしますが、あの太鼓は一体どういうわけで300両なんぞで売れたんでございましょうな?
その方も知らんのか・・いやわしもよくは知らぬが御上はああいう物に真にお目が高い・・なんでもあれは火焔太鼓だと申して世に2つというような名器だそうだな・・
ああそうっすか!それじゃああたくしは儲かったというわけですな?えぇそれではどうもありがとうございました!これからもちょくちょく宜しくお願いします!
帰るのか?風呂敷を忘れていくな?
へえあなたにあげます・・
いらん
ああそうっすか、それではありがとうございます!
気を付けてまいれよ?金子は落とすでないぞ?
金子?冗談言っちゃいけない!てめえを落としたって金子は落とさねえ!どうもありがとうございました!
あぁ驚いた・・売れたよ300両で!あぁ良かったなこりゃあ!驚いたぁ本当に・・う~~ん!!
(門番)最前の道具屋がふわふわ飛んでまいっな・・これこれ!道具屋!道具屋、どうした?商いはあったか?
おかげ様で!
どのくらいやった?
大きなお世話だ!
本当のことは言えないよ・・300両だ、300両・・・ええ?かかあのやつはね、一分で売っちまえってんだ、よかった一分って言わないで、ここんところを言うんだよ?女の利口と男の馬鹿がつっかうてえのはね!
腹がへって腹がへってしょうがない』?何を言ってやがんでい!これからうちへ帰ってあん畜生に色んなもの食わしてね、もう食えない、もう後食えませんって言っても無理に口の中に押し込んで動けなくしちゃおうってんだ!本当に!
やいこん畜生!今帰ってきた!
まあ顔色変えてきて飛んできた、しょうがないねえお前さんは・・しくじったんだろ?早く裏へ逃げちゃいなよ!あたしがうまい具合にごまかすから!
そうじゃねえやい!違うんだよぉ!あ、あのなあ!ま、まあ落ち着け!
お前さんが落ち着くんだよ!
ああそうか・・俺ぁ向こう行ったんだ!
行ったから帰ってきたんだろ?
そうだけど、黙って聞いてろ!こん畜生!
あ、あのな?向こうに太鼓持っていったら、向こうがな『大変な太鼓なんだ!』って
泥棒の太鼓かい?
そうじゃねえんだよ!なんとかっていうよくわからねえけど大変なんだ!で、向こうでいくらだ?とおっしゃったんだよ!?
うん、それでお前さん一分って言ったんだろ?
言おうと思ったら舌がつっちゃって言えないんだよぉ!
そんな肝心な時になると舌がつるんだねえ!
今度っから舌抜くよぉ?
なにを言ってやがん・・それで俺がいくらって言おうかなと思って考えてるってと向こうで手一杯に申せって言うから、だから俺はこう手をだぁ~っと広げたんだ!
高いこと言わないだろうねぇ・・いくらだって言った?
十万両!
・・馬鹿が固まっちゃったんだお前さんは!そしたらどうしたい?
そしたら向こうで高いって・・
当り前じゃないか!
でねえ!どんどんどんどんまけて、300両で売ったんだ300両で!
何を言ってんだよぉ!あんなもんが300両で売れるわきゃないだろう?どうしてそういう嘘つくの?
あぁ~しくじったからご飯が食べられないと思って・・そんな思いまでしてご飯が食べたいかねえ・・まあ可愛いところがあるよぉ
畜生!この野郎、おめえ俺の言うことがまだ信じられねえのか!ここに300両あるんだ見てみろこんなに膨れ上がって!
本当かい?嘘でしょ?そんなことあるわけない・・本当に?本当だったらちょいと見せてごらん?嘘なんだよ・・早く見せなよ?早く見せろこの馬鹿・・
なんだ馬鹿とは!よ~し俺はここに300両並べてやっからな?てめえそれ見てびっくりして座りしょんべんして馬鹿になんな?
何を言ってんだよ本当に・・
よ~しいいか?・・そら見ろ!50両だ!
あらやだよお前さん!本当なのかい!?
本当だ!今更驚いたって始まらねえぞ!?・・ほら見ろ100両だ!
あらやだあたし・・・やだねえ・・・
やだったって始まらねえんだ!ざまぁみやがれ!ほら150両だ!
あらやだ・・150両だなんて・・あぁぁ・・
おいおいしっかりしろ!後ろの柱に捕まれ後ろの柱に!
後ろの柱にかい?・・・こんなもんでいいかい?
よ~し、それ見やがれ!ほら見やがれ!200両だ!
あらま200両なんてやだよ・・やだよお前さん・・商売が上手だ・・
何をいいやがんでい!いいか?ほら見ろ!250両だ!
あらまぁちょいとお前さん・・やっぱり古いものはいい・・
何を言いやがんでい!いいか?ほら今度は300両だ!
あらまお前さんお水一杯おくれ?
ほら見ろ、俺だって水飲んだんだぞ?
おう定!水持ってきて飲ましてやれ!・・大丈夫か?
はぁ・・驚いたお前さん、よくあんなものが300両なんぞで売れたねぇ・・
音がしたからだよ?今度からは音がするものに限るね!
そうだよ音だよ?俺ぁ今度は半鐘買って来てならすよ?
半鐘はいけないよ?おジャンになるから・・・
 
 
 
おわり
 
 
 
火焔太鼓のサゲ(オチ)の意味
半鐘は昔からジャンジャンと鳴ると言われていた。ジャンという擬声語と「だめになってしまう」という意味のおジャンが掛け合わされたシャレになっている。
 
 
 
 

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半鐘

 

 
【火焔太鼓を聞きたい方へ】

 

 

 

 

火焔太鼓 (1957)

火焔太鼓 (1957)

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