知識も才能も金もない2人の大学生が一からブログ始めてみた。

どこにでもいる普通の大学生が普通から脱却するため、ブログ始めました。

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嘘で作った金には幸せは来ない・・・【もう半分】part3 台本

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こう見えてもあたくしもね?これで若い時分には深川八幡のすぐ前の大きな八百屋の跡取り息子でございましてねぇ・・・
その界隈では中々羽振りのいい店でございました・・
ところがあたしがもう若い時分からお酒が好きで商売は人に任せて、ずっと酒ばかり飲んでまして、そこを悪い奴に目ぇつけられましてねぇ・・
まぁある時、思案安易でそんな女だと思わないで手ぇ出したのが運のつきで、美人局(つつもたせ)に遭いまして金を随分盗られたんですが、それだけじゃ済みませんで、あたしゃ酔っ払ってて覚えがないんですが証文を書いてたんですねぇ・・・
うちを明け渡すということが書いてあって、びっくりしてよ~く見るってと間違いなくあたしの手、名前が書いてあってうちの印形が押してあるんです・・
いつそれを押したのか覚えがないんですが、間違いないんです・・
ただ、こんなことがあるわけがない!あたしは覚えがないんだけどって言っても、向こうはダメなんですよ・・
はなっからその気になってますから・・こういうものがあるんだからって証文を盾に一人や二人じゃないんですよ・・・七、八人土足で上がってきての掛け合いでねぇ、もうどうにもならないんだ・・あたしもね、まあ昼間っから酒飲んでた罰だとあきらめてしまいましてねぇ・・
それでそこを出て、今住んでる掃部宿(かもんじゅく)の方へ引っ越しをしてきたんですが・・まあ月日の経つというのは早いもんでね?
母親に手ぇひかれてよちよち歩いてた子が今年二十歳を過ぎまして・・えぇ・・
随分不憫な思いもさせたんでいいところに嫁にやりたいなぁ・・と思ってたらその娘が『おとっつあんもう大分歳で、もう天秤を担いで方々商いして歩くのは大変だから、例え小っちゃくても八百屋の店を出して商売をしたらどうだ?元はあたしがこしらえるから』と言うんで自分から娘が・・・
まあお恥ずかしい話でございますが・・・吉原へ身を売って・・こしらえてくれたんです・・
ええ・・で、今日その金を取りに来てくれと言うんで、取りに行きましてね、帰ってくるときに娘が『おとっつあん、今夜ばかりはどこへも寄らないで、真っすぐお家へ帰ってくださいよ?お酒は飲まないでください、おっかさんにそのお金を間違いなく渡してくださいよ』って・・
わかったよ!そうするよ!ってあたしもそのつもりで帰ってきたんです・・真っすぐ家へ帰ろうと思ったんですが、こちら様の前を通ってどうしても我慢出来なくなって寄ったとこういう訳なんです・・
ですから他へは寄ってないんです!!間違いなくここなんです!!ここに置いたんでございますから!!だからその、きっと旦那が・・・
だ・・旦那!!

 

 へ?あぁ・・な~にお前さん・・帰ってたの?もう~声ぐらいかけたらいいじゃないかぁ~黙って入って来てぇ・・

 

驚くよぉ・・なんかまるで今までそこにいたみたいじゃないかぁ・・
おじいさんがねぇ、うちにお金忘れたんだよ、そう言ってんの!
あたしは知らないよ?お前さんだって知らないだろ?あそこらへんに置いたって言うんだよ、お前さん見たかい?えぇ?知ってる!?
(旦那)い、いやぁ・・そ、そんな金・・そんな金おじいさん知らねえなぁ・・どんなもんだか知らねえけど・・忘れ物はなんにもなかったよ・・?
え・・・
・・旦那ぁそんなこたぁないんです・・思い出してくださいよ!あなたここ片づけたんでしょ?ここに置いてあったんだ!目に入らないわきゃあないよ!!
ね、ねえ!!覚えてんでしょ!?思い出してください!思い出してくださいよ!!お願いします!!
いやぁ・・そんなもんは知らねえなぁ・・
知らないこたぁないよぉ・・旦那必ず見てるんだ!どっかへしまって下さったんでしょ?
お願いですよ!旦那!ねえお願いですよ!!旦那!!ねっ?あの金がないってとね・・あたしはばあさんや娘に顔向けが出来ねえんだ・・生きちゃいられないんだから、どうか!!出してくださいよ!お願いしますよ!!!
ちょっとおじいさん待ちなさいよ・・なんですか?この人がないって言ってんですよ?知らないと言ってるのになんです!?出せ出せと・・なんだかうちの人がそのお金隠してるようじゃありませんか!!
馬鹿なこと言っちゃあいけませんよ!そんなに疑うんだったら結構ですよ?
そこら中くまなく探してご覧なさいよ!でも、その代わり無かったときはどうしてくれるんでしょうかね?ただじゃ済みませんよ?勿論・・
それが気に入らないんだったら出るところへ出ましょうか?こっちに身に覚えのないことなんですからこっちは一向に構いませんよ?さあ!どうするんです?ねえ!どうするんです??
(旦那)おじいさん・・・本当に・・な、なんにも無かったんだ!だからおじいさんね、どっか往来でもって落っことしたんじゃねえのか?
金なんて重いもんだからさ、帯の下くぐってすと~んと落っこちることがあるんだから、もう一遍よ~く来た道を戻ってね、探したほうがいいよ!だからさ、なんかの勘違いだ!年取るってとよく・・そ、そんなことがあるんだ!
そんなことはない!そんなことはないんだ!!間違いなくあたしは懐から出してここに置いたんだから!!
旦那!!お願いだから出しておくれ!!お願いだから出しておくれよ!!
何言ってんだろうねぇ、この人は!!何度言ったら分かるんです!?
ないんですよ!!そんなものはうちには無かったの!!それをあるあるって・・
あぁ~そうですかぁ・・分かりましたよぉ・・はなっからないのを承知であるあるってそう言ってんでしょ?それで因縁つけていくらかにしようってんだ・・
ねえお前さん怖いねえ・・人は見かけによらないって言うが全くだ・・こういう人がいるんだから!ねえ!
優しいおじいさんみたいな顔をして、一皮剥きゃあどういう人だか分かりゃしないよぉ、ねえおじいさん?お前さん・・・騙り(かたり=詐欺師)だね?
か・・騙りとはなんだ!騙りとは!!えぇ!?お前さん方の方こそ、 そうじゃないか!!二人でもってあたしの金をどっか隠したんだろ!!さあお出しなさい!出しなさい!!
ほら、こんなこと言ってんだ、早く出しちゃいなよ表に!!
わ、わかったよわかったよ・・・お、おじいさんおじいさん、か、帰ってくれよ!頼むよ!うちには何にも無かったんだから!あきらめて他探してくれ!さあ帰ってくれ帰ってくれ!
そんなことはない!出してくれ!
帰ってくれ!
出してくれ!
帰ってくれ!!
 

なんて押し問答しているうちに、おじいさんの振り回している手が亭主の頭へ、と~んとぶつかったんで思わず、か~っと来たんで『出てけ!』ってんで、ド~ンと突き飛ばすってと後ろへよろよろ~っとよろけて表へ出てった・・・

 

急いで戸を閉めようと思うってとおじいさんが戻って来て戸を閉めさせまいとするんで、ぐぁ~っとこうやるから仕方がない、傍にあった天秤棒でパち~~ん!ってんで頭のところ叩いたら血がだらだら~っと出てきたんで、おじいさんもかぁ~っときて、『どうしても!!』ってんで中へ入って来ようとする・・

 

しょうがないから、今度はみぞおちの所を棒でガ~ンと突くってと、『うぅぅ~~ん・・・』ってんで体を丸くして外へ転がり出て行ったんで、急いで戸を閉めてピシッと鍵を掛けちゃった・・

 
 
はぁはぁはぁ・・畜生・・!!ひでぇことしやがる・・間違いなくここに置いたんだ俺は・・二人して人のことを・・
覚えてろよ・・・
 
 
 
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・・・どうしたい?行ったかい?
(旦那)行っちゃったよ・・
そう・・うまいったじゃないか
はぁぁぁ・・・嫌だな俺ぁ!嫌だ・・おい!おめえな・・あれやっぱりおじいさんへ返そう・・なっ?返そうよ・・
何を言ってんだよ!?もうやっちゃったんじゃないか!!今更返したっておじいさん許しちゃくれないよ!?
それどころじゃないよ?『やっぱり金があったんだ!二人してそういうことをしたんだ!』って訴えられてごらん!!
あたしたちはね、暗いところへ放り込まれちゃうんだよ!?
そんなものはずっととぼけるんだよ!!とぼけてとぼけんの!!分かんないんだから・・よしなさいよ!そういうこと言うのは!!
よしなさいよったっておめえ・・生涯苦しんじまうよぉ・・こんなことしたらぁ・・
いや、だって考えてみねえな!!娘はおめえ吉原へ身を売って作った金だってんだよ!?娘が可哀そうじゃあねえか!!
そんなこたぁないよ!またお女郎になってまた、客騙しゃあいいんだよ!!世の中順繰りなんだよ!!
おめえそんなこと言ってもう・・俺ぁどうしても嫌だ!!金貸せ!!金、お、おじいさんに返してくる!!
よしなさいよ!!
いいじゃあねえか!!
 

もう止めるのを振り切って金をまた釜戸から取り出すってと表へ飛び出してった・・・

 

どんどんどんどん駆け出してくってと、ちょうど千住大橋の真ん中の辺りでもって、おじいさんの姿がパッと見えた・・・

 

見るってとおじいさん手を合わせてしきりに拝んでおりましたが、橋の欄干に足をかけたんで・・・

 
 
おじいさんーーーーーーーーーーーん!!!!!!
 

 

って声をかけるってと、おじいさん亭主の方をすっと見て薄笑いを浮かべるってと、そのまんま、どぼ~んっと飛び込んだ・・・

 

急いで助けようと思っても、てめえが泳げないもんですから、そのまんましょうがない・・がっかりして家へ帰ってきた・・・

 
 
どうしたい?
・・じいさん・・橋の上から身投げしちゃったよ・・・
そう・・・そら世話なしだ
おめえはよくそんなことが言えるなぁ・・俺ぁ、もうどうしていいか分かんねえよ・・・
後ろみるんじゃないんだよ!前を見てりゃあいいんだよお前さんは!!何言ってんだよ、忘れなさい・・ねっ!?酒でも飲みなよ!
いいんだよ!!こうなっちゃったんだからしょうがないよ!お前さん気にしたって・・・
あたしがそういう風にしたってお前さんそう思ってたっていいよ!!それでいいじゃないか・・・ねえ・・とにかく一杯おやり!飲みなさい!飲んで忘れなさい!!
はぁ・・
 

どんなに飲んだって忘れるわきゃあないんですが、もうとにかく後悔して後悔して、気にして気にしてどうにもしょうがないんだけれども、女房の方がず~っと強引ですから女房に引っ張られて言うことを聞いている・・その金を言われた通りして・・家を壊して、広くして、人を雇って女の子なんぞを置くってと・・・

 

これが結構はやるんです・・料理の数なんかを増やすってと辺鄙(へんぴ)な所ですけれども、遠くからわざわざ来る客が増えてくるんです・・昼間も夜も大変な繁盛になってきた・・これぁ不思議なもんです・・そんなことをして作った金でもっても、うまくいくときはいくんもんですな・・今度また建て増しをする・・どんどん大きくなっていく・・

 

もう忙しいもんですから亭主もすっかりその八百屋のおじいさんのことを忘れてしまいまして・・

 

これぁ不思議なもんですねぇ・・始めてその二人の間に子供ができるってえやつで・・

 
 
本当かよ・・おい・・いやぁ・・いいことってのは重なるってえが全くだなぁ・・丈夫な赤ちゃんを生んでおくれよ?
 

生まれましたのが男の子で・・

 
 
おい、お手柄!大変だよ、ねえ!男の子だ、跡継ぎだぜ!?嬉しいよ!今お産婆さんがな?今こっちに連れて来てくれるよ!待ってろ
おお!どうもどうも!お産婆さん!ありがとありがと!ここへな、カミさんの傍へ寝かしてやっとくれ!
はいはい、すいません!ご苦労様!!どうも!
いやぁ~どうだい?きたよ傍に、ありがてぇなぁ・・・あ・・・
こ・・こりゃあ・・この赤ん坊は・・なんだいしわだらけだぜ?
そりゃあ・・赤ちゃんてえのは・・生まれてすぐはしわくちゃなんだよ・・・
うかい?それだっておめえ・・こんなにしわが寄ってるもんかねえ・・・
第一この子は生まれながらにして白髪が生えて・・で、歯もこう生えてる・・誰かに似てるな・・
お・・おい!・・あのもう半分の八百屋のじいさんにそっくりだぜ・・・
嫌なこと言うんじゃないよぉ・・・変なこと言って・・そんなことはないだろう・・どれ・・
 

って見るって、もうとにかく目のくぼんでいるところ、鼻のつ~んと高いところ、頬がこけているところ、もうおじいさんをそのまま小さくしたような・・

 

あんまりびっくりして見ているってと赤ん坊がパチッと目を開けて、ギラッとカミさんの方を睨んだんで、うぁぁぁぁ~~~!!!ってんでそのままそこへひっくり返っちゃった・・

 

さあその場でいきなりそんな驚きに遭ったんですから、急いで医者を呼んできたんですけれども、もう手遅れでカミさん息引き取っちゃった・・

 

亭主は赤ん坊は生まれるはカミさんは死んじゃったんで、どうしていいか分かんなくてとにかく弔いを致しまして、さあその子を前にしてじ~っと考えた・・

 

これはきっとあのおじいさんの恨みがここへ出て来てるんだからこの子を大事に育てよう・・そうすればいくらかおじいさんに詫びが叶うかもしれないから・・・大事に大事に育てよう・・

 

自分は店へ出なきゃいけませんから、子守の婆やを頼んで、商売をしてるってとお婆さんすぐに辞めちゃう・・次の人を頼むってとまたすぐに辞めちゃう・・大抵一日、二日で辞めちゃう・・

 
 
お前さんも辞めるってのかい?どうしたんだよぉ・・何が気に入らないんだよ、何でも言ってみておくれ?お前の好きなようにするから!
嫌な奴がいるんだったらそいつを辞めさせるよ?
そんなことない?
お給金が少ないのか?増やそうか?
いえ・・そうじゃあないんですが・・・あたくし、あのぉ・・怖がりなもんですから・・とてもここには・・
なんだいその怖がりなものってのは?なんかあるのかい?
ええ・・あのぉ・・お坊ちゃんが・・・
ほぉ・・赤ん坊がなんだい!?
ちょっとぉ・・あたくし口じゃ言えませんが・・
言ってくれよぉ!今度またお前さんの代わり頼む時にさ、訳が分かっていれば頼めるんだから聞かせておくれ?
あたくしの口じゃとても言えませんから、それほどお知りになりたいんでしたら旦那様・・今夜、夜中に、あの~・・隣の座敷から様子を見てて下さいな・・
分かったよ、じゃあそうしよう!
 

その日店が終わるってと、隣の座敷からふすまを細目に開けて、赤ん坊の様子を見てる・・・

 

夜はだんだんふけてきて・・四つの鐘がゴ~ン、ゴ~ン・・と鳴るってと、今までスヤスヤ寝ていた赤ん坊がむくっと起き上がるってと、傍にいる婆やの寝息を伺ってから、あたりを、きょろっ・・きょろっ・・っと見ておいてす~っと立ち上がると、ちょこちょこちょこちょこ・・・っと枕の行燈の所へ来て、油をペロッ・・ペロッ・・っと舐めだした・・・

 

さあ隣で見ていた亭主が驚いた・・・怖いには怖いんですけども、あんまり怖いんでびっくりして、サァ~っとふすまを開けるってと

 
 
こん畜生ーーーー!!!!
 

 

っと拳を振り上げると、赤ん坊はふっと振り向いて

 
 
もう半分下さいな・・・
 

終わり

 

 

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【もう半分を聞きたい方へ】

 

本怖シリーズ 落語編その二~へっつい幽霊/モウ半分~
 

 

 

 

 

 

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